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垂水市立医療センター垂水中央病院
日本の医療はめまぐるしく変貌を遂げています。その特徴の一つは、より細分化された専門に特化した高度医療、そしてもう一つは人口構成の変化による急速な高齢化に対応するための地域医療です。高齢化は都市部よりも過疎化の進んだ地域において、より顕著にみられます。そのため、地域医療に携わるとき、医師個人が望むと望まざるとにかかわらず、診断を求められる疾患は多くの科にまたがり多様性をもつことがしばしばです。それに伴い、私たち医師に求められるスキルもより広範囲になってきています。言い換えれば、地域医療において患者に最初に接し診断を求められる医師には、すべからくその症状を総合的に判断し、専門的な治療に結び付けるための「選別と選択」の能力が求められるのです。これはまさに、医療の原点回帰ともいうべき「家庭医」「総合診療医」の存在意義が見直されているということにほかなりません。
この現実を踏まえ、2018年度より「総合診療専門医」を鹿児島県全体で育成することを理念として、「鹿児島総合診療研修プログラム」がスタートしました。本プログラムは、垂水市立医療センター垂水中央病院が基幹病院となり、鹿児島県の地域医療を支える県下33の公的病院・診療所が協力して運営しています。
さらに2020年度からは、総合診療領域のサブスペシャリティとして、日本プライマリ・ケア連合学会認定の家庭医療専門医プログラム「鹿児島家庭医療専門研修プログラム」が新たに稼働しました。
本ホームページでは「総合診療専門医」研修プログラムとともに、「家庭医療専門医」研修プログラムについても紹介しています。鹿児島県において、総合診療、地域医療、地域包括ケアに興味のある、意欲に満ちた若い先生方のご参加をお待ちしております。
プログラム基幹病院:垂水市立医療センター垂水中央病院
統括責任者: 桑波田 聡
いよいよ平成30年度から、新専門医制度が本格開始となり、「鹿児島総合臨床研修プログラム」も開始されます。本プログラムの前身である、「家庭医療専門医」のプログラムには、既に自治医科大学や鹿児島県修学資金貸与者が計16名所属し、このうち1名はプログラムを終了しています。既に動いており、実績も上げているプログラムです。
研修施設として、鹿児島県修学資金貸与者(いわゆる地域枠)の卒後の派遣先をほぼすべて網羅しており、これらの卒業医師は無理なく収得できるプログラムになっています。また、自治医科大学卒業医師においても、その勤務先を網羅しており、取りやすいプログラムです。その他の研修医においても、鹿児島県内の主な公立病院、中核病院を研修先としており、鹿児島県内で「総合診療専門医」の収得を目指す医師には、非常に取りやすいものになっています。
研究、特に臨床研究を行う上では、鹿児島大学医歯学総合研究科の博士課程(地域医療学分野の博士課程コースでも可能)を選択していくことも可能であり、総合診療の医療現場での疑問を臨床研究として、プログラムの途中から終了後どの段階でも大学院博士号取得への相談、対応が可能です。
現在、総合診療専門医の更に先の、いわゆる2階建て部分については、決定していることがほとんど無く、現時点で言及することはできませんが、社会の構造上、財政上、国民のニーズから言っても、「総合診療専門医」は今後必要とされる分野です。日本におけるパイオニアとしての地位が築けるものと思います。また、ダブルスタンダードも可能となってるため、総合診療専門医習得後に、総合内科専門医や、リハビリテーション専門医、救急専門医など(順序は逆でもよいのですが)、関連する他の分野の専門医を修得し、幅広いニーズに対応できる医師になる道もあります。
いずれにしましても、若い時期に地域と接し、地域での第一線としての医療を専門とする「総合診療専門医」を修得する医師を増やすことは、今後の少子高齢化社会を迎える日本には必要不可欠であり、その先を考えても、やりがいのある分野だと思います。中でも「鹿児島総合診療研修プログラム」は、鹿児島県内での研修を希望する医師にとっては魅力あるプログラムです。
2017年10月10日
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科
離島へき地医療人育成センター/地域医療学分野 教授
鹿児島大学病院 地域医療支援センター センター長
大脇 哲洋